一分金・二分金の価値や買取相場について解説
江戸時代に鋳造され、流通していたのが一分金・二分金という金貨です。長方形で花札のような縦長の形状をしています。
本記事では一分金・二分金の価値や種類について説明していますので、これらをお持ちで将来的に売却を考えている人は参考にしてください。
一分金・二分金の種類
一分金は1601年(慶長6年)に初めて発行され、それ以降は1860年(万延元年)まで時代ごとに異なる金貨が発行されています。
二分金は1818年(文政元年)に初めて鋳造された金貨で、一分金よりも流通量が少ない金貨です。
名称と単位について
一分金・二分金の公式な名称は、それぞれ「一分判」「二分判」」です。しかし、江戸時代末期に流通した一分銀と区別するために「一分金」の名称が使われるようになり、それに応じて「二分金」の呼称も広まるようになりました。
一分金の額面は「1分」であり、「1/4両」、また「4朱」に相当します。
同じく、二分金の額面は「2分」であり、「1/2両」、また「8朱」に等しい単位となります。
一分銀の価値については関連記事を参考にしてください。また、二朱金や小金銀についても、必要に応じて参考にしてください。
一分金の種類
一分金は表面の中央に「一分」の文字が、その上下には桐紋が刻印されています。裏面の上部に「光次」の署名と、下部には花押(かおう)が刻印されています。光次とは鋳造を請け負っていた後藤光次の印です。
一分金は小判金とともに、江戸時代を通じて鋳造され基軸通貨的な貨幣として流通していました。江戸時代の一分金には、以下の10種類があります。
一分金の種類 | 発行年 |
---|---|
慶長一分判 | 1601年 |
元禄一分判 | 1695年 |
宝永一分判 | 1710年 |
正徳一分判 | 1714年 |
享保一分判 | 1714年 |
元文一分判 | 1736年 |
文政一分判 | 1819年 |
天保一分判 | 1837年 |
安政一分判 | 1859年 |
万延一分判 | 1860年 |
二分金の種類
二分金は、一分金と同じく表面の中央に「二分」の文字が、その上下には桐紋が刻印されています。裏面にも一分金同様に、上部に「光次」の署名と、下部には花押が刻印されています。
二分金の発行は1818〜1869年と短期間であり、一分金より流通量が少なくなっています。一分金が基軸通貨的に流通していたのに対し、二分金は補助貨幣としての役割が強いものと考えられています。
二分金には、以下のような5種類があります。
二分金の種類 | 発行年 |
---|---|
真文二分判 | 1818年 |
草文二分判 | 1828年 |
安政二分判 | 1856年 |
万延二分判 | 1860年 |
明治二分判金(貨幣司二分判) | 1868年 |
一分金・二分金の価値
一分金の「一分」は、現在の価値に換算すると15,000円程度になります。一分金は金の純度が高いため、希少価値があり、保存状態も良いものであれば高額で取引される可能性があります。
二分金は一分金より金の含有量が低くなっているため、一分金より価値は下がります。
古銭市場においては、一分金は数十万円〜数百万円、二分金は数万円〜百数十万円ほどの高値がつくことがあります。
主な一分金・二分金
一分金・二分金の代表として、慶長一分判金、文政一分判金、明治二分判金について取り上げます。
慶長一分判金
- 量目:4.43(g)
- 品位:金857・銀143(%)
- 寸法:縦1.7×横1.1(cm)
慶長一分判金は、慶長6年(1601年)〜元禄8年(1695年)まで100年近くにわたって発行された金貨で、慶長小判金と同じ金857の品位を誇る貴重な金貨です。
天下統一を果たした徳川家康が国づくりの一貫として行ったのが貨幣の鋳造で、品位の高さには家康の絶大な権力が象徴されています。
文政一分判金
- 量目:3.27(g)
- 品位:金56・銀44(%)
- 寸法:縦1.5×横0.9(cm)
文政一分金は、文政2年(1819年)〜文政11年(1828年)に鋳造された金貨です。
11代将軍・徳川家斉が華やかな生活を送り、財政難を招いたことに危機感を覚えた老中・水野忠成は金の品位を落とし、金融緩和に着手しました。その中で生まれたのが、文政一分判金でした。
明治二分判金
- 量目:3.0(g)
- 品位:金223・銀777(%)
- 寸法:縦1.9×横1.1(cm)
明治二分判金は、明治元年(1868年)〜明治2年(1869)年に鋳造されました。明治初期の2年間のみ、江戸時代の補助貨幣として明治政府が発行した希少な金貨です。
明治政府は大阪と東京に金座・銀座を接収し、徳川時代の二分判金や一分銀を模して貨幣を鋳造しました。その中で生まれたのが明治二分判金です。
古銭の高価買取ポイント
古銭買取では、査定時に付属品を揃えることで価値を上げることができます。また、無理に磨かない、適切な保管をすることで価値を下げずに済ませることができます。
付属品を揃えておく
買取業者の査定に出す際、古銭の鑑定書や説明書などがあれば一緒にしておきましょう。これらがあれば古銭の価値を証明するのに役立ち、高額で取引してもらいやすくなります。
また、古銭を購入したときに付属していた箱や包みなどがあれば、これも一緒にしておくことが望ましいです。
無理に磨かない
古銭は、やわらかい布で軽く拭く程度の掃除をし、無理にゴシゴシ磨くなどはしないほうが良いです。摩擦で古銭が削れたり傷ついたりしないように優しく扱いましょう。
また、古銭に触れる際には清潔な手袋をつけて古銭に皮脂や汚れがつかないようにします。皮脂や水分で古銭が錆びたり変色したりする可能性があります。
適切に保管する
古銭は専用ケースやコインホルダーなどに入れて保管しましょう。古銭は、空気に長時間さらされると酸化して傷んでしまいます。
また、変色を防ぐために直射日光に当たらない場所で保管することも必要です。
コイン磨きの関連記事もご覧ください。古銭などコインの磨き方や注意点について解説しています。
まとめ
この記事では、江戸時代に鋳造された一分金・二分金の価値について解説しました。
希少性があり、保存状態の良い一分金は、数百万円の価値となることもあるほどで、古銭の中では高価買取が期待できる類の金貨であるということができます。
これら一分金・二分金やその他の古銭をお持ちであれば、良いタイミングでの買取をご検討ください。金貨であれば、金価格が上昇している今なら素材としての価値も認められるため、高価買取が期待できます。
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