遺品整理費用は誰が払う?相続人の負担と安くするコツを解説

親が亡くなり、実家の遺品整理を進めることになったとき、その作業や費用を誰がどう負担するのかは、きょうだいで慎重に話し合っておきたい事柄です。
それまでの介護や通院の付き添いも含め、実家の近くに住む人や長男など、特定の誰かに役割が集中してきた家庭は少なくないでしょう。だからこそ、まとまった時間と費用がかかる遺品整理は、関係者がカバーし合って進めていくのが理想です。
関わる人それぞれが納得できる形で進めるために、法定相続に関する決まりなど費用まわりの知識を入れておくとスムーズです。
そこでこの記事では、遺品整理費用は誰が払うのかを、相続人が負担する基本の考え方から、相続放棄をしたケース、賃貸住宅のケースまで分けて解説します。合わせて費用の相場や、負担を抑えるコツも紹介します。
遺品整理費用は誰が払う?

遺品整理費用を誰が払うのかは、相続と切り離せない話です。結論から言えば、負担するのは原則として相続人です。
まず支払い義務がだれにあるかをはっきりさせ、その上で分担の仕方と、もめないための決め方を固めていきます。
支払い義務があるのは相続人
遺品整理費用の支払い義務は、亡くなった人の財産を引き継ぐ相続人にあります。葬儀の喪主を務めた人や、たまたま実家の近くに住んでいた人が払うという決まりはありません。
相続人になるのは、まず配偶者と子どもです。子どもがいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹へと移り、配偶者は常に相続人に含まれます。世間では長男がまとめて払うものと思われがちですが、長男というだけで多く負担する理由はありません。
遺産(相続財産)から清算する考え方
相続人が負担するといっても、必ずしも自分の財布から出すとはかぎりません。故人が残した預貯金などの相続財産から支払えば、負担を実質的に相続人全員で分け合えます。
故人の口座からすぐに出せないときは、いったんだれかが立て替えておき、あとの遺産分割の話し合いのなかで精算する進め方もあります。最初から、遺産から出す費用だと全員で決めておくと、あとで迷いません。
ただし相続放棄を考えているなら、遺産に手をつける前に確認が必要です。
相続人が複数なら法定相続分で分担する
相続人が複数いるときは、法定相続分に応じて費用を分担するのが基本の考え方です。例えば子ども2人が相続人なら半分ずつというように、遺産を受け取る割合に合わせて負担を分けます。
もっとも、全員が納得すれば法定相続分通りにこだわる必要はありません。近くに住む人が作業を多めに引き受ける代わりに費用は軽くするといった調整も、話し合いしだいで決められます。
もめないための費用の決め方
費用でもめるのは、金額そのものより、言った言わないのすれ違いから起きることがほとんどです。だれがいくら出すのか、遺産から先に払う分はどれかを、口約束で済ませずに書き残しておくのが確実です。
改まった合意書まで作らなくても、話し合った内容をメモにして全員で共有するだけでも違います。見積書や領収書も合わせて残しておくと、あとで精算するときに根拠がはっきりします。
相続放棄すると遺品整理費用は誰が払う?

相続放棄を検討している人は、通常の遺品整理と同じように作業を進めないでください。遺品の売却や廃棄が、相続放棄に影響するおそれがあります。
相続放棄をすると債務も受け継がない
相続放棄が受理されると、はじめから相続人ではなかった扱いになり、故人の財産だけでなく借金などの債務も受け継ぎません(民法939条)。相続放棄は原則として、自分のために相続が始まったと知ったときから3か月以内に、家庭裁判所へ申述します。
財産はいらないと親族へ口頭で伝えるだけでは、正式な相続放棄になりません。借金の有無が分からず判断できないときは、家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てる方法もあります。期限を過ぎると放棄できなくなるため、早めに弁護士へ相談しておきましょう。
相続放棄を決める前に遺品を売却・廃棄しない
相続放棄を考えている段階で、貴金属を売却したり、価値のある家具を処分したりするのは避けてください。相続財産を処分したと判断されると、相続を承認したものとみなされ(法定単純承認・民法921条1号)、その後は相続放棄ができなくなります。
明らかに価値のない物の廃棄は処分にあたらないと判断された裁判例もありますが、その線引きは個別の事情によって変わります。室内の写真を撮る、鍵を保管する、腐敗しやすい物について相談するなど、財産を守るために必要な行為(保存行為)の範囲にとどめます。迷うときは、遺品整理業者を呼ぶ前に司法書士や弁護士へ確認しておくと安全です。
相続放棄が受理された後も遺品の扱いに注意する
相続放棄が受理された後でも、遺品を隠したり、自分のために使ったりすると、単純承認したものとみなされ、放棄の効果が失われかねません(民法921条3号)。
また、放棄した時点でその財産を現に占有していたときは、次の相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで、自分の財産と同じ程度の注意をもって保存する義務があります(民法940条1項)。故人と同居していた、実家の鍵を管理していたといったケースが該当し得ます。一方、遠方に住んでいて管理に関わっていなかった財産には、この義務は生じません。
相続人がいなくなったときは清算人が対応する
相続人全員が相続放棄し、結果として相続する人がいなくなったときは、家庭裁判所が相続財産清算人を選任することがあります。清算人は故人の債務を支払うなど、残された財産の清算を進めます。
相続財産清算人は自動的に選ばれるわけではなく、債権者などの利害関係人または検察官による申立てが必要です。保存義務を負っている放棄者自身が申し立てることもできます。財産の状況によっては、申立人が清算人の報酬などに充てる予納金を求められることもあります。
賃貸住宅の遺品整理費用は誰が払う?

故人が賃貸住宅で暮らしていたときは、遺品整理だけでなく、家賃や退去手続き、原状回復費用の負担までが問題になります。持ち家とは違い、貸主や保証人まで関わるため、だれが何を担うのかを先に整理しておきましょう。
相続した人が退去手続きを進める
入居者が亡くなっても、賃貸借契約がその場で自動的に終了するわけではありません。賃借人の地位は相続の対象となるため、相続を承認した相続人が故人の権利や義務を引き継ぎ、貸主や管理会社と退去日や室内の片付けについて協議します。
ただし、相続放棄を検討している人は、遺品を処分してはいけません。契約の解約を申し入れることも、相続財産の処分とみなされるおそれがあります。管理会社から早急な撤去を求められても、相続状況を説明し、対応は専門家に相談してから決めます。
なお、貸主や管理会社が相続人の同意なく室内の物を撤去・処分することは認められていません。急かされても、その場で承諾する必要はありません。
連帯保証人・保証会社の負担は契約で異なる
賃貸借契約に連帯保証人や保証会社が付いていると、未払い家賃や原状回復費用を請求されることがあります。ただし、負担の範囲は個人の連帯保証人か保証会社かで大きく変わります。
個人の連帯保証人なら、2020年4月1日施行の改正民法により、賃借人が亡くなった時点で保証する債務の元本が確定します(民法465条の4第1項3号)。そのため、死亡後に発生した家賃は、原則として連帯保証人の責任範囲には含まれません。ただし、この規定の対象は施行日以降に結ばれた契約です。
また、同じ施行日以降に結ばれた契約では、書面で極度額(保証の上限額)を定めていない個人の連帯保証契約は無効です(民法465条の2)。契約書に極度額の記載があるか、まず確認してください。
保証会社なら、法人であるため極度額の定めは法律上必須ではなく、保証委託契約の内容によって範囲が決まります。保証会社が貸主へ支払った分は、後日、相続人へ求償されます。
どちらにしても、連帯保証人だからといって遺品を自由に処分できるわけではありません。家賃などの保証債務と、故人の所有物を処分する権限は切り離して考える必要があります。契約書に目を通し、相続人・貸主・保証人で役割を整理してください。
原状回復は元通りにする費用ではない
原状回復は、部屋を新品同様に戻すことではありません。普通に暮らして生じる傷みや時間の経過による劣化(通常損耗・経年劣化)の回復費用は、借主側の負担に含まれないのが原則です(民法621条)。
請求内容に納得できないときは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認した上で、内訳の説明を求めましょう。
家賃が続くため関係者には早めに連絡する
賃貸住宅では、退去や明け渡しが完了するまで家賃が発生し続ける可能性があります。そのため、葬儀後も長期間放置せず、まずは管理会社へ入居者が亡くなったことを伝えます。
ただし、急いで連絡しても、すぐに遺品を捨てる必要まではありません。まずは相続放棄の予定や形見分け、貴重品の確認といった段取りを固め、片付けはそのあとに進めます。
遺品整理費用の相場はいくら?

遺品整理の費用がいくらになるかは、部屋の広さや物の量、特殊清掃の有無、立地によって変わります。一軒家の場合の費用の決まり方は、間取りや物量との関係を含めて別の記事に整理しました。相場を押さえたら、次はその費用をどう軽くするかです。
遺品整理費用を抑えるコツ

業者への支払いは、頼む前の準備しだいで変えられます。おすすめしたいのは、売れる物を現金に換えて費用に充てるやり方です。処分するはずだった物が、そのまま費用の足しになることもあります。
自分で分別・搬出できる物は減らしておく
業者の料金は物の量で決まるため、自分で減らせる物を先に手放しておくと、総額を抑えやすくなります。ごみとして出せる物や、自治体の粗大ごみ回収に回せる物が、まず手を付けやすい対象です。
とはいえ、無理は禁物です。重い家具や大量の荷物を一人で運ぼうとすると、けがや事故のもとになります。大型の家具をどう手放すか迷うときは「遺品整理で家具はどう処分するのが良い?」も合わせてどうぞ。
価値のある遺品は売って費用に充てる
遺品のなかに買い手のつく物があれば、売って得たお金をそのまま費用に回せます。貴金属や時計、着物や骨董品、ブランド品や古銭、状態の良い家電などは買取の対象になりやすく、査定額を作業費から差し引いてくれる業者もあります。何が売れそうか迷ったら「遺品整理で買取できる遺品が出てきたときはどうすれば良い?」も参考になります。
注意したいことが2つあります。相続放棄を考えているなら、売る前に放棄しないと決めておくこと。そして、遺産分割の前は相続人全員で確認することです。よかれと思った買取が、あとで親族間のもめごとの火種になりかねません。
買取と処分をまとめて頼む
売れる物の査定・買取を、残った不用品の処分や搬出とまとめて任せられると、業者とのやり取りも運び出しも一度で済みます。特に大型の家具や家電など自分では運び出せない物には、出張してもらえる買取が相性の良い手放し方です。
業者選びで迷ったら、「出張買取のおすすめ|失敗しない選び方と注意点」が判断の助けになります。料金の内訳や追加費用の有無も、見積もりの段階で聞いておくと失敗しにくくなります。
うるココでも、査定から出張費まで無料の出張買取を承っています。運び出せない大型品ごと、その場で買い取ってまとめて引き取れるので、処分に回す量も支払う総額も減らせます。
遺品整理費用は誰が払うのかでよくある質問

親の遺品整理費用は子どもが払うのですか
子どもが相続人であれば、負担するのが原則です。ただし身銭を切るとはかぎらず、故人の遺産から充てたり、きょうだいで分担したりできます。
長男だからと一人で抱え込む必要はありません。まずは遺産の中身を確認し、だれがどう出すかを家族で話し合うところから始めましょう。
きょうだいが費用を払いたくないと言ったらどうすればいいですか
感情のぶつかり合いになる前に、お金の出どころを整理して提案してみましょう。まず故人の遺産から支払えないか、難しければ法定相続分に沿って分けられないかを、具体的な数字とともに示すと、話が前に進みます。
口頭のやり取りだけだと、あとで蒸し返されがちです。決まったことはメモや簡単な合意書にして残し、全員が同じ前提に立てるようにしておくと、あとの行き違いを防げます。
生前に準備しておくことはできますか
できることはあります。本人が元気なうちに生前整理で物を減らし、価値のある物の扱いを決めておくと、遺された家族の費用も手間もぐっと小さくなります。何をどう残すかを話しておくだけでも、いざというときの迷いが減ります。
✅️ 合わせて読みたい:生前整理のメリットとは?家族に喜ばれる理由とデメリットも解説
まとめ
遺品整理費用は、原則として故人の財産を引き継ぐ相続人が負担します。相続人が複数ならば法定相続分をめやすに分け合い、相続放棄をすれば支払い義務は外れますが、放棄の前に遺品へ手をつけると放棄できなくなるおそれがあります。
そして、片付けを負担としてだけ抱え込まず、売れる物は現金に換えて費用に充てる発想を持っておくと、気持ちはずいぶん軽くなります。運び出せない大型の家具や家電は、査定も出張費も無料の出張買取にまとめて任せれば、費用と手間を一度に減らせます。





