老人ホームに持ち込める家具は?居室の広さと残る家具の行方

老人ホームへの入居が決まったら、実家の家具のうち何を持っていけるかを考えます。ところが居室にはベッドや洗面台などの設備が備わり、車椅子の通路や介助スペースも空けておく必要があります。持ち込める家具は、想像しているより限られます。
テレビや椅子、小型の収納は持ち込めても、大きなタンスや食器棚、鏡台までは入りません。しかも持ち込みのルールは施設ごとに違い、同じ物でも認められたり断られたりします。
持ち込みやすい家具と、事前に確認がいる物は、はっきり分かれます。そして持っていけなかった大きな家具は、誰も住まなくなった実家にそのまま残ります。残す物と手放す物を分けて考えることになります。
老人ホームの居室に備え付けられている家具

国の基準では主に面積や必要な設備が定められていますが、介護ベッドやエアコン、収納家具の有無は施設ごとに異なります。要介護度の高いかたが入る施設ほど介護ベッドが備わり、持ち込める余地は小さくなります。
代表的な面積基準と、設備・家具の考え方は次のとおりです。
| 施設の種類 | 居室などの面積基準 | 設備・家具の考え方 |
|---|---|---|
| 有料老人ホーム | 13㎡以上 | 介護ベッド・エアコン・収納の有無は施設ごと |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 原則25㎡以上 | 備え付けは薄く持ち込みが前提(共用部が十分なら18㎡以上) |
| 特別養護老人ホーム | 10.65㎡以上 | 介護ベッドと最低限の収納が中心 |
見学のときは、間取り図だけでなく居室の縦横の寸法と備え付け品も確認してください。さらに、ベッドまわりの介助スペースや車椅子の通路を確保した上で、持ち込む家具を考える必要があります。
有料老人ホーム
介護付きも住宅型も、厚生労働省の標準指導指針では、一般居室や介護居室を個室とし、入居者1人あたり13㎡以上とすることが示されています。
13㎡は畳に換算するとおよそ8畳です。ただし居室に洗面台やトイレがあるかどうかで、実際に家具を置ける面積は変わります。介護ベッドやエアコン、収納が備え付けられているかも、施設ごとに異なります。
サービス付き高齢者向け住宅
登録基準では各戸25㎡以上が原則です。居間や食堂、台所を共同で使える広さがあれば、18㎡以上まで下げられます。3施設の面積基準を比べると大きめですが、キッチンや水回りを含むぶん、家具に使える床は面積ほど広くありません。
各住戸に台所や水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えるのが原則です。ただし台所・収納設備・浴室は、共用の設備が整っていれば住戸内にないこともあります。
ベッドやテーブル、椅子などが備え付けられているかは、物件によって異なります。
特別養護老人ホーム
居室の面積基準は、入所者1人あたり10.65㎡以上です。面積基準だけを比べれば、3施設のなかでいちばん小さくなります。
多床室では、個室よりも私物を置ける範囲が限られます。婚礼家具のタンスのような大型家具は難しいことが多く、持ち込めるのは写真立てや時計、小型の収納家具などが中心です。ただし持ち込める大きさや個数は施設ごとに異なります。
認知症のかたが共同生活を送るグループホームは7.43㎡以上、原則個室とされています。
老人ホームに持ち込める家具・家電

老人ホームに家具や家電を持ち込めるかどうかは、品物の種類だけでは決まりません。同じテレビやチェストでも、大きさや置き場所、入居するかたの身体状況によって判断が変わります。
- 持ち込みやすい家具
- 相談が必要になる家具
- 持ち込みを断られやすい家電と火気
見るのは、転倒や火災を防げるか、車椅子の通路や職員が介助するスペースを残せるかどうかです。
持ち込みやすい家具
写真立てや置き時計などの小物、背の低いチェストや小型のサイドテーブルは、居室の動線を妨げにくく、比較的持ち込みやすいものです。小さくても、置き場所や個数によっては断られることがあります。
テレビや小型冷蔵庫、椅子も持ち込める施設はありますが、事前の申請や電気代がかかることもあります。入居案内でテレビや冷蔵庫、机、椅子を持参品に挙げる施設がある一方、家電の持ち込みに料金を設定する施設もあります。
家具を選ぶときは、備え付け品で足りないものだけを補いましょう。
相談が必要になる家具
キャスター付きのワゴンや折りたたみ椅子は、歩行の状態によって持ち込みを断られることがあります。歩行が不安定なかたが支えにしたとき、ワゴンが動いたり、椅子の折りたたみ部分が閉じたりすると、転倒につながるためです。
入居のしおりに「要相談」と書かれた品物は、写真やサイズなどを施設に伝え、実物を確かめてもらいます。
持ち込みを断られやすい家電と火気
石油ストーブや電気ストーブ、ガスコンロ、ろうそく、線香。火や高温を出す物は、まず持ち込めません。老人ホームは消防法施行令別表第一(六)ロの防火対象物で、カーテンやじゅうたんに防炎物品を使う義務があるほど、火に厳しい建物だからです。
電子レンジや冷蔵庫の扱いは施設によって分かれます。居室で使える電力に上限があり、消費電力の大きい家電は制限されがちです。大型の冷蔵庫は、期限切れの食品を口にする心配から、持ち込みを断る施設もあります。
老人ホームに持ち込む家具を選ぶポイント

持ち込める家具の条件を把握したあとは、具体的にどの品を置くか検討していきます。見た目や値段よりも先に、転倒しにくいか、車椅子や介助者の動線を塞がないかを確認しましょう。その上で、本人が使い慣れた物を選びます。
高さと安定感
チェストなどの収納家具は、高さ60cm程度までに抑えるのが目安です。腰より高い家具は、立ち上がるときに体重をかけると、手前へ倒れてくる恐れがあるためです。
テレビには転倒防止ベルトを取り付け、引き出しは軽い力で開け閉めできるタイプを選びましょう。握力が落ちていると、重い引き出しを開けようとして体勢を崩すことがあります。
車椅子が通る幅
車椅子が通る通路は、少なくとも80cm、動きやすさを考えるなら90cmほど確保します。180度向きを変えるには140cm角、回転するには直径150cmほどの空間が目安です。ただし車椅子の種類や介助方法によって、さらに余裕が必要になります。
大型のチェストを置くと、通路や方向転換のスペースが狭くなります。家具から先に並べると、あとで動かせません。空けておく床を決めてから、残った場所に置ける物を選びましょう。
使い慣れた物を選ぶ
住み慣れた家を離れることは、心身の負担になることがあります。こうした環境変化による影響はリロケーションダメージと呼ばれ、使い慣れた家具や思い出の品を置くことが、安心感につながることもあります。
すべてを新品でそろえる前に、持ち込める思い出の品がないか探してみましょう。例えば、長年使ってきた鏡台がひとつあるだけでも、新しい居室を自分の部屋と感じるきっかけになります。
そして、選ばれなかった家具が実家に残ります。
老人ホームで使う家具はどこでそろえるか

居室に必要な家具は、量販店や介護用品の専門店で購入するほか、レンタルでそろえる方法もあります。価格に加えて、体の状態に合うか、退去のとき持ち出しやすいかまで考えて選びましょう。
家具店と量販店
家具店やニトリのような量販店では、幅や奥行きの異なる商品を比べられます。実店舗なら、高さや安定感を確かめ、引き出しを無理なく開けられるかも試せます。
購入前に、置き場所の幅・奥行き・高さを測りましょう。コンセントの位置や、扉と引き出しを開くための空間、居室まで運び込めるかも確認しておきましょう。
介護用品の専門店
介護用品の専門店では、立ち上がりやすい椅子や、身体状況に合った手すり・歩行器などを相談できます。
介護保険を使えるのは制度で定められた福祉用具に限られ、市販のチェストや椅子は対象外です。手すりや歩行器を用意するときは、施設職員やケアマネジャー、福祉用具専門相談員へ先に相談しましょう。
レンタルという方法
短期間の入居や、退去時の処分を減らしたいなら、家具・家電のレンタルも視野に入ります。テレビや冷蔵庫などを扱うサービスがありますが、借りられる品物や配送地域は会社によって異なります。
購入費と月額料金のほかに、配送・設置・回収費や最低利用期間も含めて比べましょう。利用期間が読めないときは、途中解約や延長の条件も確認しておきます。
老人ホームに持ち込めなかった実家の家具

老人ホームの居室に持ち込める家具は、実家にある物の一部です。入居の準備が終わっても、誰も住まなくなった家には、多くの家具が残ります。
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残るのは大型家具
婚礼家具のたんす、食器棚、鏡台、こたつ、ベッド、仏壇。実家に残りやすいのは、思い入れが強いのに、居室に収まらず運び出しも難しい物です。
小物は持ち込みやすく、段ボールにも収まります。一方、大型家具は玄関や階段を通せるか、解体が必要かまで考えなくてはなりません。運び出し方は「自分で運べない大型家具はどう処分したら良い?」で整理しています。
買取に回せる家具
状態の良い桐たんすや和家具、ブランド家具、作家物、アンティーク家具には、値がつくことがあります。購入から年数が浅く、傷や汚れの少ない家具も査定の対象です。
家具のほかに、金属製の仏具や、引き出しにしまわれていた貴金属も一緒に見てもらえます。
家具買取を検討しているかたは、運び出す前に査定を受けてみてください。出張査定なら、重い家具を外まで運ばずに見てもらえます。
✅️ 合わせて読みたい:出張買取のおすすめ|失敗しない選び方と注意点
値がつかない家具
大型の婚礼家具は、思い入れの大きさと買取価格が一致しないことがあります。中古で欲しい人が少なく、運び出しや保管にも費用がかかるためです。
ただし、ブランドや材質、状態がよければ値がつく家具もあります。見極めの基準は「婚礼家具が売れない理由と賢い処分方法7選」で紹介しています。
買取が難しい家具は、自治体の粗大ごみや、許可を受けた回収業者による処分を検討します。テレビや冷蔵庫は家具と処分方法が異なるので、自治体や購入店の案内を確認してください。
老人ホームの家具でよくある質問

仏壇は持ち込めますか
小型の物なら認められることが多いものの、線香やろうそくの火は使えません。電気式のろうそくに替えるか、火を使わない供養に切り替えます。
実家に残る大きな仏壇をどうするかは、また別の話になります。
✅️ 合わせて読みたい:実家じまいで仏壇はどうする?供養の順番と手放し方
介護ベッドは自分で用意しますか
施設に備え付けられていることもあれば、介護保険などを使って借りることもあります。施設の種類や要介護度によって扱いが変わるので、契約前に確認しておきましょう。
持ち込む家具がベッドの可動域とぶつからないかも、合わせて見ておきます。
退去のとき家具はどうなりますか
原則として持ち帰ります。引き取り手がいなければ、家族が運び出すほかありません。入居のときに運び込んだ物は、いつか運び出すことになります。
処分方法や期限は施設によって異なるので、入居契約書や管理規程を確認してください。家具を買うか借りるかは、退去時の手間まで考えて決めましょう。
まとめ
老人ホームの居室は、施設によって広さや備え付け品が異なります。それでも共通して言えるのは、持ち込める家具はわずかだということです。選ぶときは、転倒しにくいことと、車椅子の通路や介助スペースを確保できることが優先です。
そして、持ち込めなかった婚礼家具や食器棚、鏡台などは、誰も住まなくなった実家に残ります。いちばん手放しにくいのは、思い出の詰まった大きな家具です。
自分で動かせない大型家具が売れるか確かめたいときは、査定料・出張費無料の出張買取を利用してみてください。処分する前に査定を受けるだけでも、残す物と手放す物を整理しやすくなります。






