ルイヴィトン・モノグラムにはビニールが使用されている?
「モノグラムの素材は本革でしょ?」
「ルイヴィトンにビニール素材のものがある?」
ルイヴィトン・モノグラムのアイテムが本革でないと知ったら、ショックを受ける人もいるかもしれません。しかし、合成皮革は丈夫で扱いやすいなどメリットも多くあります。
本記事では、ルイヴィトンで使用される素材やポリ塩化ビニール(PVC)のメリット・デメリットなどについて解説します。
ルイヴィトン・モノグラムにはビニールが使用されている?
ルイヴィトンのモノグラムモチーフはあまりにも有名です。多くの人に愛されるモノグラム柄ですが、実はその製品にはビニール素材が使用されてることをご存知でしょうか。
ビニール素材というと、本皮より安価な印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。ルイヴィトンで使用されるのは、エジプト綿のキャンバスにポリ塩化ビニール(PVC)をコーティングした、「トアル地」という特別な素材なのです。
トアル地(Toile)は、フランス語で「キャンバス」を意味し、主にリネンやコットンなどの天然素材で織られた平織りの布地を指します。
確かに、本皮と比較すると相対的に安価な素材であることに間違いはありません。しかし、トアル地はビニールなので弾力があり、水に濡れても問題ありません。革のような定期的なメンテナンスも必要なく、革にはない魅力があります。
記事の後半ではポリ塩化ビニール(PVC)素材のメリット・デメリットをご紹介します。
ルイヴィトンで使用される素材
ルイヴィトンで使用される素材は、ラインごとに違いが見られます。以下にルイヴィトンの定番ラインと使用素材について紹介します。
モノグラム・ダミエ:キャンバス(トアル地)
ルイヴィトンのキャンバス地は、ブランドを代表する素材として広く知られています。この素材はエジプト綿から作られた高密度なキャンバスに塩化ビニール(PVC)でコーティング加工を施しており、丈夫で耐水性にも優れています。
モノグラムやダミエなど有名なデザインパターンの基盤となり、軽量かつ汚れに強いため、日常使いに適しています。
革製品と比較するとメンテナンスも簡単で、長い間美しい状態を保つことができるのが嬉しいところです。機能性とラグジュアリーなデザインが、ルイヴィトンのキャンバス素材の魅力といえるでしょう。
ヴェルニ:本革(カーフスキン)
ルイヴィトンの「ヴェルニ」シリーズは、その光沢感と独特のテクスチャーで有名です。ヴェルニとはフランス語で「エナメル」を意味し、その眩い輝きは極上の女性らしさを象徴しています。
ヴェルニの革は上質なカーフスキン(生後6か月程度の仔牛の革)に特殊な樹脂コーティングを重ねることで、美しい光沢と滑らかな表面を創り出すことに成功しました。このコーティングにより、色彩が鮮やかに反映され、耐久性と防水性も高まっています。
ただし、ヴェルニの美しい光沢はデリケートなため、傷つきやすい特性を持っています。また、直射日光は色褪せの原因となるため、短時間でも放置するのは控えましょう。
ルイヴィトンのヴェルニは、エレガントかつ女性らしい印象を与えるため、特別な日やフォーマルな場にふさわしいといえます。
エピ:本革(グレインレザー)
ルイヴィトンの「エピ」シリーズは、シンプルながらも存在感ある波型のテクスチャーで人々の目を引きます。エピとはフランス語で「麦の穂」という意味です。表面に凹凸のある波状の模様は、麦の穂が風になびく風景に見えることから名付けられました。
エピに使用されているグレインレザーとは、皮革の表面に天然のままの肌理(グレイン)を残した革のことを指します。通常、皮革は動物の表皮から取るもので、その表面には細かい凹凸が存在していますが、この凹凸がそのまま残っている革がグレインレザーです。
グレインレザーは個性的で触り心地が良く、耐久性にも優れています。また、表面の処理をしていないため、革本来の風合いや味わいを楽しむことができます。
ルイヴィトンのエピは色のバリエーションも豊富です。シックな黒から鮮やかな色まで幅広い選択肢があり、男女問わずに使用しやすいユニセックスなラインであるといえます。
シンプルなデザインは、ビジネスやカジュアルまであらゆる場面で活躍します。
持ち手など:ヌメ革
多くのモノグラムやダミエのバッグで、持ち手やパイピング部分に使用されているベージュ色の革がヌメ革です。
ヌメ革とは、植物のタンニンで鞣(なめ)されたあと油を染み込ませて仕上げた革のことで、柔らかくしなやかな質感をしています。また、ヌメ革は耐久性があり、水にも比較的強いため、長期間の使用にも適しています。
傷もつきにくく、万が一ついた場合でもその傷も経年変化の一部として楽しめるのが特徴です。
ポリ塩化ビニール(PVC)の特徴
前述の通り、ルイヴィトン・モノグラムやダミエなどに使用されるトアル地とは、上質なエジプト綿とポリ塩化ビニールを合わせた合成皮革です。
ここでは、ポリ塩化ビニールの特徴やメリット・デメリットについて紹介します。
ポリ塩化ビニール(PVC)とは
ファッションに詳しい人なら、合成皮革というと「PUレザー」を聞いたことがあるかもしれません。PUレザーは「Polyurethane(ポリウレタン)」を布に混ぜた素材で、フェイクレザーとして多くの製品に使用されています。
一方で、ポリ塩化ビニールは「PVCレザー」ともいい、こちらは「Polyvinyl Chloride(ポリ塩化ビニール)」を布に塗布した合成皮革です。PVCレザーも、PUレザー同様に多くのフェイクレザー製品に使用されています。
ポリ塩化ビニール(PVC)のメリット
ポリ塩化ビニールのメリットとして耐久性、加工のしやすさ、手入れしやすさが挙げられます。
ポリ塩化ビニールは耐久性が高く、汚れに強いため傷がつきにくいです。また、加工しやすいためさまざまな形態やサイズに成形したり、さまざまな色にも染めたりできます。
さらに、ポリ塩化ビニールは水や中性洗剤につけて汚れを洗い落とすこともできます。本革の場合、水はシミやカビの原因となるため、水洗いは避けるべきですが、ポリ塩化ビニールなら大丈夫です。
ポリ塩化ビニール(PVC)のデメリット
通気性よくない、熱に弱い、本革の質感に敵わない
ポリ塩化ビニールのデメリットとして、通気性が悪い、経年劣化する、本革の風合いに劣ることが挙げられます。
ポリ塩化ビニールは通気性が低いため、使用中に蒸れやすい特徴があります。夏場や湿度の高い時期には、不快感をもたらしやすいかもしれません。
長期間にわたって使用すると、ポリ塩化ビニールの表面は硬化し、コーティングが割れるなどの外見上の問題も起こりやすくなります。耐久性には優れていますが、ほかの素材に比べて早く変質することもあります。
天然の革と比べると、質感や風合いが異なり、天然素材のような高級感や独特の風合いを求める場合には満足できないかもしれません。
ポリ塩化ビニール(PVC)の素材が劣化するとどうなるか
合成皮革としてポリ塩化ビニールが使用される場合、使用環境や頻度により劣化が進みます。
ここでは、劣化によりどのような症状が発生するのかご紹介します。
乾燥して劣化する
合成皮革のポリ塩化ビニールは、乾燥により硬化や収縮を引き起こすことがあります。
長期間、乾燥した環境下で保管したり直射日光にさらされたりすることが続くと、ポリ塩化ビニールの柔軟性が失われてきます。これが、生地が反り返る原因のひとつです。
本革との相互作用で反りかえる
ある製品がポリ塩化ビニールの合成皮革を表面に、そして内部に本革を使用している場合、2つの異なる素材の間での物理的な相互作用が生じる可能性があります。
ポリ塩化ビニールが収縮し、本革がそれに追従できない場合、製品全体の形状に歪みや反りが生じるでしょう。
変形する
合成皮革の製品が継続的に折り曲げられる、あるいは外部からのプレッシャーにさらされると、生地の反り返りや変形が生じやすくなります。
これは、ポリ塩化ビニールの構造が徐々に変化するためです。
反りや変形を防ぐためには、定期的な保湿ケアが効果的です。専用のクレンジング剤を使用して、ポリ塩化ビニールの柔軟性と耐久性を維持することで、長期的な使用でも製品の寿命を延ばすことができます。
ルイヴィトン・モノグラムは本革でなくとも価値はある
本革には確かに独特の質感があり、長年の使用を経てもっと良い風合いになる魅力があるでしょう。
しかし、ルイヴィトンが合成皮革を使用する背景には、品質の向上やデザインの多様性、さらには社会的な要因などさまざまな要素が含まれています。本革と合成皮革、それぞれに異なる魅力と価値があり、どちらもその価値を理解していただきたいと思います。
製品の質や価値は、素材だけでなく、デザインやブランドの歴史、職人の技術など、多くの要素によって決まります。ルイヴィトン・モノグラムやその他のラインはどれも、高品質を追求しています。
ルイヴィトン製品があればうるココへ
ルイヴィトンのモノグラムやダミエで採用されるポリ塩化ビニール(PVC)素材について紹介しましたが、いかがでしたか。
本革はリアルレザーの良さがありますが、ポリ塩化ビニール(PVC)素材も耐久性や手入れの手軽さなど多くのメリットがあり、ファッションアイテムとして長期間、愛用するのに何ら問題はありません。
また、買取の際も同様に本革でないから売れないというわけではありません。ルイヴィトンというブランド価値もありますので、アイテムの種類や状態によって高価買取も期待できます。
使用していないルイヴィトン・アイテムがあれば、ぜひうるココにご相談ください。
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