七宝焼の魅力とは?ジュエリーのように輝く伝統工芸品
七宝焼は、その色彩の美しさや繊細な技術から芸術品と呼ぶのにふさわしい、日本の伝統工芸です。
歴史を紐解けば、古代エジプト文明にまでさかのぼり、有名なツタンカーメンの黄金のマスクにも七宝焼と同じ技術が施されていたとされています。
本記事では、七宝焼の魅力について紹介するとともに、その多彩な技法にも言及します。
七宝焼の魅力
七宝焼の語源は、仏典に登場する七つの宝である金、銀、瑠璃、玻璃(はり)、硨磲(しゃこ)、瑪瑙(めのう)、赤珠(しゅくしゅ)にも勝るほど美しいことに由来しています。
ここでは、七宝焼の魅力として、色彩豊かな美しさ、美しさの永続性、技法によって異なる表情という観点から説明します。
色彩豊かな美しさ
七宝焼の魅力のひとつは、色彩の鮮やかさが際立っている点にあります。七宝焼は、銅板や銀盤など金属素地にガラス質の釉薬(ゆうやく)をつけ、高温で焼き上げた工芸品です。
釉薬の種類によって透き通るような色から重厚な色合いまで豊かな色彩表現ができ、目を見張るような美しさを味わうことができます。
美しさの永続性
七宝焼に使われるガラス質の釉薬は、その鮮やかさが経年劣化によって失われず、美しさが半永久的に持続します。
また七宝焼は、素地が銅や銀などの金属であるため陶器やガラスと比べて破損しにくいことからも、幾世代にもわたって受け継ぐことができます。
技法によって異なる表情
七宝焼にはいくつかの技法があり、多彩な表現ができます。釉薬の色彩表現と相まって、七宝焼は同じものが世界に二つとない、唯一無二の作品となるのです。
七宝焼の技法
七宝焼のさまざまな技法の一部として、以下の7種類を紹介します。
- 有線七宝
- 省胎七宝
- 透胎七宝
- 銀彩七宝
- 彩釉七宝
- エマイユ七宝
- メタル七宝
では、それぞれ見ていきましょう。
有線七宝
有線七宝は、尾張七宝の基本技法のひとつで、ガラスの色彩と金属線の繊細な縁取りが特徴です。
有線七宝では、銅や銀などの金属素地に下絵を描き、それに従って細いテープ状の金属線を立てて輪郭を形成します。
金属線は、ガラス質の釉薬が流れ出るのを防ぎ、色と色が混ざることなく鮮やかなデザインを実現します。完成したデザインの間に釉薬を差し込み、高温で焼成することでガラス質の彩りが固定されます。
明治時代以降、多くの職人がこの技術を用いてさまざまな表現を追求し、有線七宝は日本の伝統工芸としてその技術が高く評価されることとなりました。
省胎七宝
省胎七宝は、まず有線七宝の制作法にしたがい、金属素地に細い金属線で囲んだデザインを描き、その間に色とりどりの釉薬を流し込んで焼成します。
省胎七宝が特徴的なのは、焼成後に金属素地を薬品で腐食させて除去することにあります。
その結果、金属線と釉薬だけが残り、金属線がデザインの輪郭を形成し、釉薬がガラスのような透明な質感を示すのです。
透胎七宝
透胎七宝では、銅素地の一部を切除し、その切り取った部分の輪郭に沿って幅広の銀線を配置して形状を固定します。その後、この銀線で囲まれた中空部分に透明な釉薬を注ぎ込み、高温で焼成します。
透胎七宝の特徴は、切り取られた部分が光を透過し、その透明感が作品全体に軽やかさと美的魅力を与える点です。
また、銅素地の残存部分には通常の有線七宝の技法を用いて色彩豊かな釉薬を施し、コントラストのある見事なデザインを生み出します。
銀彩七宝
銀彩七宝においては、銅素地の表面に銀箔を貼り付けることから始まります。その銀箔の上に透明または半透明の釉薬を施し、高温で焼成することにより、銀の光沢が透けて見える美しい効果が生まれます。
また、電気鋳造を用いて模様を施した銅素地に銀鍍金を施し、その上から釉薬を施すという技法もあり、銅素地の精密なデザインが銀の輝きと釉薬の色とが合わさることで、さらに複雑で美しい表現が可能となります。
銀彩七宝の魅力は、銀の反射する光が透明な釉薬を通して見え、独特の煌めきを放つ点です。この技法による作品は、光の当たり方によってさまざまな表情を見せるため、角度によって異なる美しさを楽しむことができます。
彩釉七宝
彩釉七宝の技法は、素地となる金属表面を槌などで立体的に打ち出し、模様を作ることから始まります。打ち出された模様の輪郭に沿って彫りを入れ、その彫りが釉薬の流出を防ぐ役割を果たします。
次に、模様の部分にのみ七宝焼きの釉薬を施して高温で焼成し、釉薬が固定されると、金属の打ち出し部分と七宝の施された部分の間には独特なコントラストが生まれます。
この対比によって、金属の光沢と釉薬の色彩が互いに引き立ち、独特の質感と美しさが強調されるのです。
エマイユ七宝
エマイユ七宝は、ヨーロッパのエマーユ技法にインスピレーションを受けた技法です。銅などの金属素地に絵画を描くように、水を含んだ筆を用いてさまざまな色のガラス質の釉薬で彩色を行います。
筆を使用することにより、より細かいディテールやグラデーションができ、画家がキャンバスに絵を描くような繊細さで金属上に美しい図案を創出することができるのが特徴です。
焼成過程では、高温で釉薬が金属に溶け込むことで、耐久性がありながらも鮮やかな色彩が保持され、光沢のある仕上がりとなります。
メタル七宝
メタル七宝は、比較的低温で溶融するメタル釉薬を使用した七宝焼きの一種で、さまざまな小物やアクセサリーの製作に適しています。
メタル七宝では、型でプレスされた素地や彫金が施された銀素地を使用し、その上にメタル釉薬をのせて焼成します。低温で溶融するため、高温を必要とする従来の七宝焼きに比べて扱いやすく、焼成時間も短縮されます。
メタル七宝は、その手軽さからアクセサリーやバッジ、小さな装飾品などの製作に広く用いられ、七宝教室などで初心者にも扱いやすい材料として人気です。
また、彩色の自由度が高く、色鮮やかなデザインを簡単に実現できるため、クリエイティブな表現が求められるアート作品にも適しているでしょう。
七宝焼の高価買取ポイント
どうせ現在の七宝焼を手放すなら、少しでも高く買取してもらいたいところです。
以下の点を参考にしつつ、客観的な価値を知るためにも査定依頼をしてみると良いでしょう。
七宝焼の買取については参考記事もご覧ください。
良好な保存状態
七宝焼を査定に出す前に、欠けている部分やひび、割れがないかを慎重に確認しておきましょう。
このような破損があると、七宝焼の価値が大きく損なわれてしまいます。貴重な七宝焼が何らかの原因で倒れたり、傷ついたりしないよう、適切に保管しておくことが必要です。
年代を確認する
七宝焼は、年代や作品によって価値が大きく異なります。古い時代のものは高値がつきやすい傾向にあり、特に明治時代の七宝焼は希少性が高く、また技術的にも優れたものが多いため、高額査定されやすいです。
また、有名作家の作品となると、小さな花瓶などでも数万円以上の価値となることもあります。
不要になったら早く買取してもらう
新しい骨董品に目移りしたり、単純に今の骨董品に飽きたりして、七宝焼が不要になることもあるでしょう。
そのようなときは、不注意で壊したり汚したりしてしまう前に査定依頼をして、買取してもらいましょう。
そうすれば、その七宝焼を必要としている人の手に渡り、自分は新しい骨董品を仕入れるための資金が得られます。
この記事を読んでいるならなおさら、思い立ったときに行動するのが一番手間がかかりません。
まとめ
七宝焼の魅力は、多様な色彩表現をはじめ、その美しさの永続性、多様な技法によって生み出される表情にあるといえます。
骨董品ファンにあらずとも、その美しさには心惹かれるのではないでしょうか。
もし、お持ちの七宝焼を買取に出すなら、骨董品の取り扱い実績が多い買取業者を選ぶようにしてください。
うるココでも、骨董品の買取を承っています。出張査定をご利用いただければ、大切な七宝焼などの骨董品を外に持ち出すことなく、査定させてもらえます。
ご入用であれば、お気軽にご相談ください。お待ちしております。