着物の紋やその種類をプロがわかりやすく解説!
着物の紋の種類による格の変化を具体的にみてみよう!
着物に紋があることは知っていてもどんな種類があるかまではあまり知らない方が多いと思います。
着物は紋の種類で格が変わり着用シーンなども変わります。
ここではそんな紋の種類と、紋の格の順位などを紹介しています。
そもそも着物の紋とは

着物に入れる紋は、地方で違いがありますが、関西では女性は母方の家紋を入れ、男性は父方の家紋を入れるので、家族の中でも紋が違いますすが、関東では男女関係なく家族全員がその家の家紋を入れます。
地域で紋の入れ方が違うので、紋を入れるときは専門家などに相談したほうがよいほどです。
着物紋の表現方法
着物に入れる紋にはいくつか表現方法があります。
■日向紋(陽紋) もっとも格が高い紋で、紋の型全体を白地にして、黒や着物の地色で模様をつけます。 白い部分が多く、明るいことから陽紋とも呼ばれることもあります。 |
■陰紋 紋の型と柄を白でなぞったもので、着物の地色の方が多いです。 |
■中陰紋 陰紋と同様に紋の型を白でなぞりますが、陰紋より太い線で、模様の部分の描写は省かれます。 格が高いのは、白で色が抜かれている面が多いもので、格の高さ順に並べると 日向紋 > 中陰紋 > 陰紋 となります。 |
着物の紋の入れ方の違い
紋の入れ方にも格の違いがあります。
■染め抜き紋 もっとも格の高い紋の入れ方で、紋の型を作って、紋の白く残るところを染め抜いて、中に柄を描き足します。 |
■石持ち入れ紋 あらかじめ白い丸で、染めあがった着物の紋が入る部分を抜いてある状態で、後から紋を描き足すので、描き紋とも呼ばれますが、染め抜き紋の入れ方の一つです。 |
■縫い紋 刺繍で縫い付ける紋で、線を表現するので陰紋になります。 様々な色で刺繍を施し、家紋の周りに飾りが入る加賀紋もこの縫い紋の一つで、加賀紋は洒落紋(しゃれもん)とも呼ばれます。 |
■貼り付け紋 紋を描いた生地を上から貼り合わせるワッペン的なもので、紋を変える際に、色が抜けない際などに使います。 格の高さで並べると、染め抜き紋 > 縫い紋 > 貼り付け紋 留袖や男性用の紋付きの着物や喪服には、染め抜きの日向紋を使うのが正装になります。 |
着物の紋の大きさは?

特に紋の大きさに決まりはないのですが、おおよそ男性が約3.8cm、女性が約2cm程度です。
紋の周りに飾りが入る洒落紋は、サイズが大きくなる傾向にあります。
着物の紋の数と格
着物の紋の数で格が決まります。
紋を入れる場所は決まっていて、
■前紋
胸より少し上の左右につける。
■背紋
衿付けの約5.7cm下がった背縫いにする。
■袖紋
袖の肩山から約7.5cm下がった左右の袖につける。
上記の箇所に全部で5つの紋が入りますが、他の場所には紋を入れません。
また、入れる数によって呼び名があります。
■五つ紋
前紋、背紋、袖紋の全部が入り、もっとも格が高く、留袖、男性用の紋付き、喪服の第一礼装に利用されます。
■三つ紋
背紋、袖紋の2カ所に3つの紋が入り、訪問着、付け下げ、色無地などの略礼装に利用されます。
■一つ紋
背紋だけ1つの紋が入り、訪問着や付け下げ、色無地などの略礼装に利用されます。
「紋の数が多い=格が高い」で、
五つ紋 > 三つ紋 > 一つ紋
五つ紋は第一礼装、三つ紋と一つ紋は略礼装になります。
第一礼装になる色留袖は、他の第一礼装とは違い三つ紋と一つ紋も入れられますが、その場合は略礼装になるので、第一礼装としては着用できません。