銀貨の価値はどう決まる?国内外の主な銀貨や高く売るコツも紹介
銀貨には古い歴史があり、世界的に貿易の取引用としても流通していました。そして、美しいデザインが施されたものもあり、芸術的な価値が高いものもあります。
本記事では、銀貨の価値や国内・海外で有名な銀貨について解説します。
銀貨について知れば、金貨などより手軽に投資ができ、また投資ポートフォリオにも幅を持たせることができるようになるでしょう。
銀貨とは
銀貨とは、銀を主な原料として鋳造された貨幣のことです。歴史的に多くの地域で貨幣の材料として使われ、世界の遠隔地交易を支えてきました。
通貨制度としては19世紀から20世紀にかけて成立していた金本位制が有名ですが、金が国際的な決済通貨として使用されるようになったのは19世紀後半になってからです。
それ以前には、銀が世界の交易における主役だったのです。
日本では明治時代に銀貨の流通が活発になり、台湾や中国などの諸外国との貿易において1円銀貨が流通していました。
1897年の貨幣法改正にともなって金本位制が導入され、銀貨の通用が停止されるまでは、銀貨が多く使用されていたのです。
現在では、国家事業の際に発行される記念硬貨としてのみ銀貨が発行されており、コレクター人気を集めています。
銀貨の価値はどのように決まるのか
銀貨の価値は、市場の価格相場や質量・純度、そしてプレミア性の影響を受けます。
銀市場の相場
昨今では、金価格の高騰が話題になることが多いですが、それと同じように銀が市場で取引される価格にも相場が存在します。
銀貨には原材料として銀が使用されているため多くの銀を含み、銀相場が上がるほど銀貨の価値も高くなります。
銀相場は、金の価格や生産国の情勢、需給バランスなどにより変動します。
質量・純度
銀貨の価値は、銀貨に含まれる銀の質量、純度によって大きく左右されます。銀価格は、銀1gに対して設定され、重いほどその価値が高くなります。言い換えると、1gあたりの銀の含有量が高い、すなわち銀の純度が高いほど銀貨の価値が高まることになります。
例えば、銀価格が1g100円で純度が100%の場合、銀100gは1万円の価値になります。純度が50%になると、銀100gは5,000円の価値です。また、銀60gで純度100%の場合、銀60gは6,000円となり、重量が少なくても純度が高ければ高価値となることが分かります。
プレミア性
発行枚数が少ない銀貨は市場に存在する数が限られているため、希少性が高まり、コレクターや投資家にとって魅力的なものとなります。
また、数百年前など古い時代に発行された銀貨は、その時代の経済や文化、技術を象徴し、その歴史的意義からプレミア価値がつくことがあります。
保存状態や美しさも、価値を決める要因です。保存状態が良く、未使用に近い状態の銀貨はコレクター価値が高まり、さらに高値で取引されます。
【日本】価値が高い銀貨
国内の銀貨で価値が高いものを紹介します。
東京オリンピック記念1,000円銀貨幣
1964年に開催された東京オリンピックは、アジア初となるオリンピックであり、これを記念して発行されたのが、東京オリンピック記念1,000円銀貨幣です。同時に100円銀貨も発行されています。
銀貨の表面には富士山と桜、裏面には桜と五輪マークの図柄が採用されました。発行枚数は約1,500万枚と多いですが、未使用であれば1万円程度の価値がつきます。
これ以降、オリンピックなど国家的事業の際には記念硬貨が発行されるようになりました。記念金貨の一覧については、関連記事を参考にしてください。
鳳凰100円銀貨
鳳凰100円銀貨は、昭和32年(1957年)に発行された銀貨で、初めて100円の額面で作られました。
銀貨の表面には鳳凰が、裏面には桜がデザインされています。流通量は3千万枚と多く、希少価値はそれほど高くありません。
100円玉で価値のある年号については、関連記事を参考にしてください。
1円銀貨
明治から大正時代にかけて発行されていたのが、1円銀貨です。1円銀貨には、1871年に発行され貿易用として使用された「旧1円銀貨」と、1874年に国内向けとして発行された「新1円銀貨」の2種類があります。
旧1円銀貨のデザインには、表面に竜、裏面に旭日が採用されていました。一方で、新1円銀貨は、表面には旧1円銀貨と同じく竜が、裏面には「一圓」という文字が描かれています。
買取相場は、高いもので旧1円銀貨であれば数万円、新1円銀貨であれば数十万円ほどです。現代のレア1円玉と発行年については、関連記事を参考にしてください。
旭日竜大型50銭銀貨
旭日竜大型50銭銀貨は、明治3年(1871年)に発行された銀貨で、同年に制定された新貨条例にともなって鋳造されました。
明治3年と、明治4年の前期・後期に発行された3種類に分けられ、明治4年の前期・後期は表面に描かれた「大日本」の「本」という文字で区別できます。
明治4年前期のものが最も価値があるとされ、10万円前後で取引されることがあります。
50銭銀貨の価値と種類については、関連記事をご覧ください。
【海外】価値が高い銀貨
国内の銀貨の次は、海外の銀貨で価値が高いものを紹介します。
メイプルリーフ銀貨
メイプルリーフ銀貨は、カナダの王立造幣局が発行する高純度の銀貨です。初めて発行されたのは1988年で、それ以来、投資家やコレクターの間で高い人気を誇っています。
メイプルリーフ銀貨の特徴として、純度が99.99%と非常に高い点が挙げられます。これは、ほぼ純粋な銀でできていることを意味し、国際的にも高品質な銀貨として有名です。
銀貨の表面には、メイプルリーフのデザインが刻まれており、裏面にはエリザベス2世の肖像が描かれています。
銀貨のほかに、メイプルリーフ金貨も発行されています。
イーグル銀貨
イーグル銀貨は、アメリカ合衆国政府が発行する金貨です。1986年に初めて発行されて以来、世界中から人気を集めています。
イーグル銀貨の表面には、自由の女神像が、裏面にはアメリカの象徴であるイーグル(鷲)が描かれています。
純度は銀99.9%であり、非常に高純度な銀が使用されていますが、偽造銀貨が問題になったため、高度なセキュリティ機能が組み込まれました。
また、銀貨と同様にイーグル金貨も発行されています。
ブリタニア銀貨
ブリタニア銀貨は、イギリスの王立造幣局が発行する高純度の銀貨です。ブリタニア銀貨には、イギリスの象徴である「ブリタニア」がデザインされており、初めて発行されたのは1997年です。
ブリタニア銀貨の特徴のひとつは、その純度です。2013年以降は99.9%(.999)の銀で作られており、非常に高い品質を誇ります。
裏面に描かれるブリタニアは、イギリスという国家そのものを女性に擬人化したもので、盾と三叉槍を持ち、兜をかぶった姿で表現されます。表面に描かれるのは、イギリス女王エリザベス2世です。
ブリタニア銀貨のほか、ブリタニア金貨も存在しています。
パンダ銀貨
パンダ銀貨は中国造幣公司が発行する銀貨で、1982年に初めて発行されました。毎年発行されており、デザインされるパンダが年度ごとに異なっているのが大きな特徴です。
純度99.9%の高品質と、毎年変わるパンダの図柄からコレクター人気が非常に高いコインとして知られています。
年度によっては10万円を超える価値となるパンダ銀貨もあります。銀貨のほかにパンダ金貨も発行されており、こちらも高い純度(99.9%以上の純金)とデザインから世界中にコレクターがいます。
ウィーン銀貨
ウィーン銀貨は、オーストリア造幣局が発行する高純度の銀貨で、1989年に初めて発行されました。
ウィーン銀貨はオーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団にちなんで名付けられており、美しいデザインと高い品質で知られています。
銀貨の表面には、ホルン、ハープ、チェロなどウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のさまざまな楽器が描かれているのが特徴です。
音楽がテーマのウィーン銀貨ですが、同じくウィーン金貨も発行されています。2004年には発行15周年を記念して1000オンス金貨が世界限定15枚で発行され、世界最大の金貨としてギネスブックに登録されました。
銀貨を高く売るコツ
銀貨を少しでも高く売るためには、以下の観点に留意してください。
銀市場の相場が高いときに売る
銀の価格相場は、常に変動しています。そのため、高値で取引するには銀の価格が上昇しているタイミングで手放す必要があります。
日頃からインターネットのニュースや銀の買取業者の公式サイトなどで銀の価格相場をチェックすることが重要です。
適切に保管する
銀貨は、コインの専用ケースで密閉保管しておくことが望ましいです。空気や湿気に触れると酸化し、錆びやカビが発生する原因となります。
銀貨に触れる際は、指の皮脂が付着しないよう清潔な手袋を着用しましょう。汚れが付着していても無理にゴシゴシと擦るようなことはせず、やわらかい布でふくだけで十分です。力を入れてふいて、傷がつくと銀貨の価値を下げてしまいます。
信頼できる買取業者で売る
銀貨は、その純度やプレミア性によって価値が決まります。そのため、銀貨の価値を適切に判断できる、信頼に足る買取業者で査定依頼することが重要です。
買取実績が少なく、銀貨の価値を見極められない場合、適正な査定額を提示してもらえないことがあります。
買取業者を選ぶ際は公式サイトで銀貨の取扱いがあるか、買取実績が豊富かをしっかりと確認しましょう。
まとめ
本記事では、銀貨の価値やさまざまな銀貨の種類について解説しました。日本や海外の有名な銀貨やその価値の決まり方が理解してもらえたのではないでしょうか。
銀貨の価値を適切に評価するには、純度のほか、歴史的価値や発行枚数、保存状態など多くの要素を考慮する必要があります。そのため、高値で取引するには、銀貨や古銭の専門知識を持った買取業者を選ぶことが重要です。
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