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山繭紬(信州袖)とは?特徴や歴史を紹介

山繭の繭から作られ、独特な光沢をまとう絹織物が山繭紬(やままゆつむぎ)の魅力です。信州袖とも呼ばれ、丈夫でシワになりにくく、着心地が良いことから着物や帯、またネクタイなどにも使用されます。

本記事では、山繭紬について紹介します。

目次

山繭紬とは

着物 種類 山繭紬

山繭紬とは、長野県の松本市や安曇野市で生産されるヤママユ(天蚕)の繭から採られた天蚕糸を使用した織物のことです。

山繭紬は信州紬とも呼ばれ、1975年には伝統的工芸品に指定されています。

生産する地域により、以下のように呼ばれます。

  • 松本紬
  • 上田紬
  • 飯田紬
  • 伊那紬

信州は原材料の種類が多く、自生している植物を使った草木染めを活用しています。

天蚕の繭は鮮やかな緑色で、そこから採れる糸は深い独特の光沢があり、絹より丈夫で軽く柔らかいのが特徴です。

また、染料の吸着性が弱いので濃く染まらないので、山繭紬の織物は自然で柔らかい色合いになります。

山繭糸は希少価値があるので、山繭紬の着物も同じように高級品とされています。

山繭紬の特徴

山繭紬(信州袖)の特徴は、渋い光沢と格調高い染めにあります。生糸、天蚕(やまこ)、玉糸、真綿の手紡ぎ糸を原料として使用しており、繊細かつ豊かな質感が生み出されています。

特に注目すべきは、草木を主とした自然由来の染料を用いた「草木染め」による色彩です。この染色には、同じ色を二度と再現できないほど繊細な作業が要求され、そのようにして生み出される色合いは、一点ものの風合いと素朴さを生み出します。

独特の緑色の繭から取れる「天蚕」の糸は、軽さと強度を兼ね備え、長い間、親から子、孫へと受け継がれる耐久性を持っています。

また、生産体制もその特徴のひとつです。伝統工芸品としての地位を確立した後も、地域ごとに独自性を保ちながら生産が行われている「広域分散型」の体制を取っています。

また、他の産地とは異なり、分業制をとらず、織物の製造全工程を一企業が一貫して手掛ける「一貫生産型」を採用することにより、製品一つ一つを妥協なく作り上げているのです。

山繭紬の歴史

山繭紬(信州袖)の歴史は、日本の長野県、別名「蚕の国」として知られる地域の深い養蚕文化にその起源を持ちます。この地域での紬の織り始めは、古く奈良時代にまで遡り、その当時「あしぎぬ」と呼ばれる織物が織られていたことが山繭紬の起点とされています。

江戸時代の初期には、信州の各藩が産業政策の一環として養蚕を奨励しました。この時代、農家では副業として生糸や真綿など手で紡いだ糸を利用した紬織物が織られ始めました。

また、この地域では染料となる草木が豊富に自生しており、草木染の技術も広まりました。これらの要素が組み合わさり、信州全域は紬織物の生産地として発展し、特に寛延年間から明和時代にかけては、信州紬が毎年のように京都へ出荷されるようになりました。

しかし、時代が進むにつれて、紬織物の生産は一時期下火になり、昭和中期までは主に技術の保存と伝承が目的であった小規模な生産が主でした。戦後、長野県の振興策と当時の紬ブームが相まって、再び県下全域で紬の生産が活発化しました。これにより、山繭紬は再び注目を集めるようになり、現代においてもその伝統と技術は受け継がれています。

まとめ

山繭紬という絹織物について紹介しました。

山繭紬は、長野県で生産される絹織物で、美しい光沢と強度を持っているのが特徴です。シルクの中では比較的安価であるため、日常使いとしても用いられています。

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