金を売るときに知っておくべき税金の話
「金を売って得たお金に税金はかかるの?」
「金を売ったら税務署に報告しないとどうなるの?」
金を売却しても税金が高くつき、手元に利益がほとんど残らなかった、という事態は避けたいですよね。
ロシアとウクライナの問題や世界的なインフレの影響で、金の価格は上昇傾向です。そのため、金の買取で利益を得たいと考えている人が増えています。
「こんなに税金がかかるとは思わなかった」と後悔しないために、金の売却における税金の知識について解説します。
金を売ったら税務署にばれる?
税務署にばれずに金を売る方法はありません。
金の売却によって得られた所得は、税務署の目をごまかしやすいと言われていますが、税務署のチェックは年々厳しくなっています。
金の売買により買取金額が200万円を超えた場合、買取業者は「支払調書」を税務署に提出する必要があります。支払調書の提出は、買取業者側に対する、脱税や所得隠し防止が目的です。
支払調書には以下の内容が記載されています。
- 売却した人の住所・氏名
- マイナンバー
- 売却した貴金属の種類(金地金など)
- 重量
- 数量
- 取引金額
- 取引年月日
税務署は、税の売却を把握しています。売却による利益を申告しなくても、支払調書の内容から税務署にばれてしまうわけです。
あとになって申告漏れの指摘を受け、追徴課税を取られないよう、200万円以上の金の売却利益が発生した際には必ず確定申告をしましょう。
金を売ったときの税金について
金の売却で得られた利益は、以下の3つに区分され、課税対象となります。
- 譲渡所得
- 雑所得
- 事業所得
一般的に個人が金の売却で利益を得た場合は「譲渡所得」として扱われますが、状況に応じて「雑所得」「事業所得」へ区分される場合があります。
それぞれの所得区分によって税金の計算方法などが違ってくるので、自分の利益がどの区分に該当するか確認が必要です。
譲渡所得
サラリーマンのような給与所得者など、個人が金の売却により得た所得は「譲渡所得」に区分されます。
譲渡所得はすべてに課税されるわけではなく、以下の控除額と費用を除いた金額が課税対象となります。
- 金を購入した際にかかった費用
- 譲渡所得の特別控除額50万円
- 金を売却した際ににかかった費用
売却費用とは、金を売るときにかかった、買取店への手数料などです。
株式や不動産・骨董品などの売却による利益も、譲渡所得に区分されます。
また譲渡所得の課税対象となる金額は、短期譲渡所得と長期譲渡所得の2種類に分類され、金の保有期間が5年以内か5年以上かで分かれています。
雑所得
事業としてではないものの、個人が「営利を目的に継続して」金の売却を行うことで得た利益は「雑所得」に区分されます。
他には、公的年金や副業などによって得た所得も、雑所得となります。
事業所得
法人などが事業として金を売却し利益を得た場合は「事業所得」に区分されます。
製造業・卸売業・サービス業・農業など、事業の種類に制限はありません。
事業所得に区分される場合には、他の所得と損益通算が可能です。また、青色申告をすれば、3年間は繰り越し控除ができます。
参考元:国税庁「損益通算」
自分の利益がどこに区分されるのかは、判断が難しい場合があります。納税額を間違ったり損をしたりしないよう、わからないことは税務署か税理士への相談をおすすめします。
金を売ったときにかかる税金のシミュレーションをしてみよう
金の売却によって実際にどのくらい税金がかかるのか、気になるものです。
譲渡所得の計算方法には、金の保有期間によって「短期譲渡所得」「長期譲渡所得」の2種類があります。
それぞれについて計算式を確認しながら、実際にシミュレーションしてみましょう。
短期譲渡所得
短期譲渡所得は「保有期間5年以内の金の売却によって得た所得」です。
短期譲渡所得を計算するには、まず譲渡益を確認します。計算方法は以下の通りです。
売却金額-(取得金額 + 売却手数料)= 譲渡益
さらにここから、短期譲渡所得を求めます。
金の譲渡益 + その他の譲渡益 – 50万円(特別控除額)= 短期譲渡所得(課税所得)
「その他の譲渡益」には、金を売却した同じ年の1〜12月に発生した、株や不動産売却での利益が含まれます。
例として実際に金額を想定して計算してみましょう。
<3年前に260万円で購入した金を500万円で売却し、売却手数料が10万円かかった場合>
500万円 -(260万円 + 10万円)= 230万円
230万円 – 50万円 = 180万円
この場合、180万円が課税所得になります。この180万円が短期譲渡所得の課税対象という意味です。
長期譲渡所得
長期譲渡所得は「保有期間5年以上の金の売却によって得た所得」です。
計算方法は短期譲渡所得の場合と同じですが、課税対象の所得が半分になります。金の長期保有は、税制面で優遇されるメリットがあります。
計算方法は以下の通りです。
売却金額 -(取得金額 + 売却手数料)= 譲渡益
さらにここから、長期譲渡所得を求めます。
{金の譲渡益 + その他の譲渡益 – 50万円(特別控除額)}× 1/2 = 長期譲渡所得(課税所得)
こちらもシミュレーションしてみましょう。
<7年前に260万円で購入した金を500万円で売却し、売却手数料が10万円かかった場合>
500万円 -(260万円 + 10万円)= 230万円
(230万円 – 50万円)× 1/2 = 90万円
課税対象になるのは90万円という意味です。同じ金額設定の売却でも、保有期間の長い長期譲渡所得の方が税金が少なくなるということがわかります。
短期・長期譲渡どちらも発生する場合
金の保有期間が、5年以内のものと5年以上のものが混ざっている場合があります。
この場合は、短期譲渡所得の譲渡益から優先して特別控除額50万円を差し引き、控除額が余れば長期譲渡所得の譲渡益から差し引きます。
以下がシミュレーションです。
<3年前に50万円で購入した金を80万円、7年前に90万円で購入した金を150万円で売却し、売却手数料がそれぞれ5万円かかった場合>
80万円 -(50万円 + 5万円)= 25万円(短期譲渡所得の譲渡益)
25万円 – 25万円(特別控除額)= 0円
150万円 -(90万円 + 5万円)= 55万円(長期譲渡所得の譲渡益)
{55万円 – 25万円(特別譲渡額の余り)}× 1/2 = 15万円
最終的な課税所得は15万円になります。
金の売却時に確定申告は必要?
サラリーマンなどの給与所得者で、以下の両方に該当する場合は、会社が年末調整を行ってくれるので確定申告の必要はありません。
- 1/1~12/31までの年間給与額が2,000万円以下
- 同じ年の金の売却益などその他所得の合計が20万円以下
譲渡所得は年間50万円までは控除対象になるため、免税されます。納付期限を過ぎると延滞税が課されたり、申告漏れの場合は追徴課税が発生したりします。
確定申告の必要・不必要については十分に確認し、注意しましょう。
金の売却時に気をつけるべきポイント
金の売却時は、できるだけ利益を上げたいので、損をしないための方法を知っておくことも重要です。
以下の3つのポイントをおさえてリスクを下げつつ、節税に役立てましょう。
- 税理士に相談するのがおすすめ
- 金を売却したときの計算書は失くさないようにする
- 消費税の増税対策が可能
それぞれについて解説します。また、合わせて「金の売り方や注意点」についても知っておいてください。
税理士に相談するのがおすすめ
納税に関してわからないことがあれば、税務署や税理士に相談するのが得策です。
金の売却によって得た利益は、譲渡所得・雑所得・事業所得のいずれかに区分され、それぞれ扱いが異なります。しかし自分の利益がどこに区分されるのか、判断が難しい場合があります。
確定申告の手続きや書類などの準備も煩雑で、時間が取られるのも難点です。税理士に任せることで、計算ミスをなくし、また節税による利益も見込めるでしょう。
金の売却にまつわる税金については、国税庁ホームページ「金地金の譲渡による所得」が参考になります。
金を売却したときの計算書は失くさないようにしよう
金を購入した際には「計算書」を渡されます。計算書は大切に保管し、失くさないように気をつけましょう。
計算書を紛失すると購入時の金額を証明できないため、売却金額の95%が利益とみなされ、課税対象となってしまうからです。
例えば250万円で購入した金を、400万円で売却したとします。
計算書がある場合、売却手数料を0円として計算すると、利益は150万円です。
しかし計算書を紛失し購入金額が証明できないと、売却金額400万円の95%にあたる380万円に課税されてしまいますので、気を付けてください。
もし計算書を紛失した場合には、金を購入した店舗や、税務署・税理士に相談してみましょう。
消費税の増税対策が可能
消費税は商品の売却時に買取側が負担するシステムのため、増税を利用することで金取引の利益をアップできます。
つまり、金を購入する際には自分が消費税を支払っていますが、増税後に金を売却する際は、買取業者が消費税を支払います。個人には消費税の納税義務がないため、増税による消費税の差額分が利益となるわけです。
しかし一番大切なのは、日々変化している金相場です。金相場が下がっているときに売却すれば、増税分が利益になっても全体的には損をしてしまいます。
直近の金相場の変動をきちんと把握して、金の売却のタイミングを見計らいましょう。
また、金買取における消費税のことも知っておくと、金取引の参考になるでしょう。
金を売るなら売るココにご相談ください
金を売る際の税金について解説しました。
まとめると、金を売って得られる利益は譲渡所得、雑所得、事業所得のいずれかに該当し、必要に応じて課税対象となります。
税金がどの程度になるかは、一度シミュレーションしておくと分かりやすいでしょう。
金を売る際の税金まで理解できたら、準備万端です。
金買取の際は、うるココにご相談ください。電話1本で出張買取も可能です。ぜひ、お気軽にご利用ください。