陶器と磁器の違いをプロが解説!
「陶器と磁器はどう違うの?」
ここでは、陶器と磁器の違いから見分け方、保管方法について解説しています。
陶磁器とは
「陶磁器」とは、粘土や石を原料とし、高温で焼いて作られる製品の総称です。「焼き物」とも呼ばれ、主に陶器と磁器の2つに分けられます。
陶磁器は日常で使用する食器から芸術品まで、さまざまな形やデザインで製造されています。陶磁器に詳しくない人でも、信楽焼や有田焼の名前を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
日本には有名な陶磁器が数多くあります。海外でも日本の贈り物として人気が高いです。また、骨董品としての陶磁器は、有名な作家物の品物であれば高値で取引されることも珍しくありません。
陶器の特徴
原料 | 陶土(とうど) と長石(ちょうせき)、珪石(けいせき) |
---|---|
焼成温度 | 800度 ~ 1200度 |
特徴 | 吸水性が少しあり、光は透過しない |
呼称 | 粘土で作られる 「 土もの 」 |
主な焼き物 | 瀬戸焼・唐津焼・美濃焼・常滑焼・信楽焼・萩焼・笠間焼 |
磁器の特徴
磁器
原料 | 陶石(とうせき)と長石(ちょうせき)、珪石(けいせき) |
---|---|
焼成温度 | 1200度 ~ 1400度 |
特徴 | 吸水性がなく、光を透過させる |
呼称 | 石で作られる 「 石もの 」 |
主な焼き物 | 有田焼(伊万里焼)・九谷焼・砥部焼・波佐見焼 |
陶器と磁器の違い① 原材料
陶器の原料として使用されるのは、陶土という粘土です。陶土は粘りが強く、成形しやすい特性を持っています。水分を含むことで柔らかくなり、成形や加工が容易に行えます。陶器は、このような土由来の粘土から作られるため「土もの」と呼ばれることもあります。
一方で、磁器の主な原料は陶石という石や、長石・珪石(けいせき)などのガラス質の石を白色粘土に加えたものを主原料としています。このため、磁器は「石もの」とも呼ばれます。
陶器と磁器の違い② 焼成温度
陶器は、おおよそ800~1300℃の温度で焼成(しょうせい)されます。この焼成温度では、完全には石質化せず、多孔質(多数の小さな穴がある状態)となります 。このため、陶器は比較的吸水性が高くなり、磁器に比べると強度が低下することが一般的です。
一方、磁器は1300℃以上の高温で焼成されます。そのため素地が緻密な構造を持ち、高い強度を持つようになります。高温で陶石や長石などが溶けて器を覆うことにより、ガラスのような質感となるのです。
陶器と磁器の違い③ 硬さ
焼成温度や焼成時間、そして原材料の種類によっても異なりますが、陶器の硬さは磁器に比べると比較的柔らかいです。陶器は800~1300℃程度と磁器のそれよりも低い温度で焼くため、磁器よりも割れやすい特徴があります。
それに対して、磁器は一般的に1300℃以上の温度で焼成されるため、陶器より硬く、緻密な構造を持つようになります。ただし、硬いといっても割れないということではないので、取り扱いには注意が必要です。
陶器と磁器の違い④ 透光性
陶器と磁器は、透光性の観点から比べると、磁器のほうが透光性が高いです。これは、磁器の原料に含まれる長石や珪石が、陶器の原料に含まれる粘土に比べてガラス質が多いためです。
ガラス質が多いほど、陶器の素地は緻密になり、光が透過しやすくなります。そのため、磁器は陶器に比べて、透き通るような美しい白色をしています。通常のガラスをイメージすると分かりやすいでしょう。
陶器と磁器の違い⑤ 吸水性
陶器には、微細な空間や孔が存在します。これは、焼成温度が低めで、粘土が完全に石質化しきらないためです。そのため、陶器は液体を吸収する性質を持ち、高い吸水性を示します。
一方で、磁器は高温焼成により空気孔は閉じ、ほとんど吸水性を示しません。硬く焼きしまっているため、磁器に水を注いでも染み出すことはないでしょう。
陶器と磁器の違い⑥ 打音
陶器は磁器よりも多孔性が高く、焼成温度も低いため、構造が磁器ほど緻密でないのが特徴です。そのため、陶器製品を叩いたときの音は、磁器に比べると低く鈍い音がします。
このような打音の特性は、陶器の土の風合いや温もりを感じさせる質感とも相まって、素朴な印象を持たせます。
一方の磁器は、軽く叩くと、高くて鮮明な「キーン」という音がします。これは磁器が緻密な構造を持ち、硬度が高いためです。
磁器の音は清々しく、特に薄手の磁器では鐘のような音がして美しいとされます。
陶器と磁器の違い⑦ 質感
陶器は焼成温度が低めで、多孔性のため表面はざらっとした感触があります。そのため、陶器は自然な土の風合いを感じさせる質感を持ちます。
陶器とは対象的に、磁器の表面は滑らかで光沢があり、上質な風格があるのが特徴です。磁器特有の透光性や鮮明な打音は、この滑らかな質感と相まって、高級感や繊細さを感じさせてくれます。
陶器と磁器の違い⑧ 用途
陶器は無数の細かい孔や隙間があるため、熱伝導率が低い特徴があります。「熱しにくく冷めにくい」性質があり、保温性に優れているため、熱い飲み物を飲む場合などに適しています。
一方で、磁器はガラス質が多いため熱伝導率が高く、「熱しやすく冷めやすい」のが特徴です。また、吸水性がないため、醤油など色の濃いものを入れても汚れや臭いがつきにくく、容器として扱いやすいでしょう。
陶器と磁器の見分け方
陶器と磁器の見分け方については、「陶器と磁器の違い④・⑥・⑦」を参考にしてください。すなわち、透光性と打音です。
陶器は一般的に厚手に作られており、光にかざしても向こう側が透けて見えることはありませんが、一方で、磁器は薄く作られていることが多いため、光が通ります。陶器か磁器か確かめたい場合、まずは光に当てるのが分かりやすい方法です。
また、爪でパチンと弾いたときの音でも判断できます。陶器はやや鈍い音がしますが、磁器はガラス素材を多く含むため高い音がします。
さらに質感にも違いがあり、陶器は指でなぞるとざらつきを感じますが、それに対して磁器は滑らかでツルツルとした感触があります。
陶器と磁器を見分けるには、上記の項目を総合して判断してください。
陶磁と磁器の取り扱うときの注意点
陶器と磁器は吸水性や硬さなど、さまざまな違いがあるため、取り扱いにもそれぞれに応じた注意点があります。
- 電子レンジの扱い
- 「目止め」をする
- 陶器と磁器を重ねて収納しない
大切な陶磁器をより長く使うため、これらについて知っておいてください。
電子レンジの扱い
料理を温める際に利用する電子レンジですが、陶器の使用は避けるのが無難です。電子レンジを使用する頻度が高いと、ヒビが入る可能性があるためです。
磁器は電子レンジ対応のものが多いですが、金・銀で装飾されている場合は使用を控えましょう。
「目止め」をする
目止めとは、器に水分や油分が染み込むのを防ぐために、器全体をコーティングすることです。陶器は吸水性があり、シミや汚れが染み込みやすい性質がありますが、これを防止するために行います。
目止めは、次のように行います。
- お米のとぎ汁を作る
- お米のとぎ汁に浸す
- 10〜15分ほど沸騰させる
目止めをすることにより、お米のデンプン質が陶器の小さい隙間に入り込み、穴を塞いでくれます。これで陶器にシミや汚れ、臭いがつきにくくなります。
陶器はよく乾燥させて保管する
陶器は水分を吸収しやすい性質があるため、洗ったあとはよく乾燥させましょう。水分が付着したまま放置していると、カビが発生しやすくなってしまいます。
タオルやふきんで十分に水分を取り除いたら、すぐに収納せずに、風通しのよい場所で乾燥させてから食器入れなどに保管すると効果的です。
陶器と磁器を重ねて収納しない
陶器と磁器は硬さが異なります。陶器は磁器に比べて柔らかく、磁器と重ねて収納すると陶器に傷がつく原因となります。
そのため、なるべく陶器と磁器は離して収納するのが無難です。もし、どうしても重ねて収納する必要がある場合は、陶器と磁器の間にナプキンなどを挟んでおくと安心です。
お手持ちの食器の価値を調べてみませんか?
お持ちの食器がいったいどのくらいの価値が現在あるのか、一度査定を受けて把握しておくとよいでしょう。
食器は、業者によって査定額に差が大きくでます。
買取業者ごとの基準価格の違いも理由の一つですが、もっとも大きな理由は、「国内にしか販売ルートがない業者」と「海外にも販売ルートがある業者」の違いにあります。
世界中の市場から食器を一番高く売れる市場に販売ルートをもつ「海外にも販売ルートがある業者」の方が仕入れである食器の買取価格を高く設定することができるのです。
複数の食器買取専門業者に査定を依頼し、その中から一番高い査定額をだす業者の価格を参考にすると良いでしょう!
うるココの買取
うるココは、
- 幅広い海外販路
- プロの鑑定士が査定
- 業界トップクラスの取扱品目
安心してさまざまな商材の買取をお任せいただけます!
「査定だけ」でも大歓迎!
多様な査定方法をご用意しておりますので、ご都合に合わせて選んでいただけます。取扱品目の多さが自慢のうるココなら、まとめてまるっと買取ます。